代わりに「ご不満?」という声がして、ハッとして振り返った入口にいるのは東堂夫人。
――い、いつの間に。
降って湧いたような夫人の登場に叶星は動揺を隠せない。
絵に書いたような完璧な微笑みを浮かべた夫人は、セイさんを振り返り、ゆっくりと口を開く。
「セイさん、お茶を運んでくださる?」
声も話し方も、やたらと優雅である。
「はい、わかりました」
セイさんが部屋を出るのと入れ替わるようにして、東堂夫人が部屋の中に入ってくる。
コツ、コツ。
室内履きなので音は聞こえるはずはないのに、叶星の耳にははっきりと夫人の足音が聞こえるような気がした。
「いいかしら? 座っても」
「あ、は、はい。いえ、あの失礼します……」
むしろ聞きたいのは自分のほうだと思いながら、恐る恐る叶星も斜向かいに腰を下ろした。
――い、いつの間に。
降って湧いたような夫人の登場に叶星は動揺を隠せない。
絵に書いたような完璧な微笑みを浮かべた夫人は、セイさんを振り返り、ゆっくりと口を開く。
「セイさん、お茶を運んでくださる?」
声も話し方も、やたらと優雅である。
「はい、わかりました」
セイさんが部屋を出るのと入れ替わるようにして、東堂夫人が部屋の中に入ってくる。
コツ、コツ。
室内履きなので音は聞こえるはずはないのに、叶星の耳にははっきりと夫人の足音が聞こえるような気がした。
「いいかしら? 座っても」
「あ、は、はい。いえ、あの失礼します……」
むしろ聞きたいのは自分のほうだと思いながら、恐る恐る叶星も斜向かいに腰を下ろした。



