東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

「どうですか？　何かご不便なことはありませんか？」

どうにも落ち着かない叶星は、緊張して答えた。
「あ、いえいえ、何もご不便なことはありませんです」

「そうですか、では」

頭を下げたセイさんは、部屋を出ようとしてふと立ち止まった。
「朝食は何時にいたしましょう？」

「えっと、皆さんは？」

「奥様は七時に」

「そうですか、では、すみません、私もその時間で……」

わかりましたというセイさんを、叶星は引き止めた。
「ちょっとよろしいですか？」

「はい？　なんでしょう」

「私は、いつまでここにいることになるんですか、ね？」

精一杯の笑みを浮かべて聞いてみた。
何しろいま、叶星がいる場所は本来なら一番遠くに離れなければならないはずの。

ここは、東堂家の敷地なのだ。



セイさんは「はて」と首を傾げて悩む様子をみせる。