東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

でもそれ以外は、寝室もウォーキングクローゼットも、バスルームも叶星のマンションよりも広かった。

ため息をついた叶星は、北側の窓のカーテンをそっと開けて外を覗いた。

「ありえないでしょ……」

少し先に見える家は、まさにお屋敷という呼び方がふさわしい大きな邸。

ここからあの邸までは、どれくらい離れているのか。
五十メートル以上はある? 百メートルくらい?と考えて、叶星はプルプルと左右に首を振った。

塀と樹木に囲まれているので、通りから邸は見えないようになっている。
都内の一等地にこれだけ広い敷地の住宅。まさに豪邸。あるとこにはあるものだと、ため息が出た。

――それにしても。

「なんでこうなるの?」と、ひとりごちたところで、コンコンとノックの音がした。

「はい」
慌てて背筋を伸ばす。

「失礼します」
入ってきたのは、セイさんという初老の女性。