退屈でパッとしない毎日だったかもしれない。いつまで経ってもやりたい事をみつけられなくて不安になる午後とか、孤独に襲われて眠れない夜は確かに辛かったけれど、それでもジュンくんに時めいてみたり、好きな服を買うことや美味しい食事に満足して、それなりに幸せな毎日を送っていたはずだ。

彼にさえ会わなければ。
彼があんなにキスが上手くなければ、こんな目に合うこともなかったし。

体を合わせることがこんなに素敵なことだと知らずにすめば、こんなふうに苛立ちを覚えることはなかった。

いきなり『大毅と別れてくださる?』なんて言われないで済んだ。

――話をしたこともないのに、どうしていきなりダメ出しをされなくちゃいけないの。
いったい私のどこがどういうふうにだめなのか、せめて理由くらい言ってくれたっていいじゃない。

私にだって負けたくない意地がある。

御曹司なんか、こっちから願い下げだ!