東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

電話は新しく作ることにした。
いままでとは別のキャリアで契約して、家族や友人には連絡を済ませ、今の電話は電源を切る。

居場所と通信手段を切ってしまえば、彼の方からはもう連絡の取りようがない。物理的なさよならができる。

でも彼は心配するだろう。

もしかしたら事件に巻き込まれたとか、しなくてもいい心配をしてしまうかもしれない。
それでは申し訳がないので、彼の友人にメッセージを残しに来た。

心配なんかしなくていい、いっそ軽蔑してくれたほうがいい。
冷たく突き放し希望を残さないのはむしろ思い遣りだと言ったのは、彼だ。

だから自分の意図もわかってくれるだろう。

副社長、あなたとの未来はないという私の意思だとわかってくれるだろう。

――私はお嬢様じゃないから仕方がないんです。

このビールを飲み干す前に話を切り出して、ボロが出る前に帰ろう。

そう思って、グラスに手を伸ばす。
ビールは残すところあと三分の一。