東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

――ここからが大切だ。

この人は彼の友人である。この人を誤魔化さないと逃げ切ることはできない。
そう思うと自ずと指先に力が入った。

「しばらく、仕事もなにもしないでのんびり過ごそうと思います」

「そっか」

叶星は、作ってきた話を心の中で繰り返した。

見合いをする話をすることになったんです。
相手は普通の人で、でも写真を見た感じでは素敵な人なんです。

お見合いをしてそのまま結婚しようと思うので、もう二度と副社長には会わないつもりなんです。だから、彼には後でそう伝えておいてください。

どこにも矛盾はないはずだ。

この人も御曹司なのだからそれだけで言いたい事は伝わるし、納得してくれるに違いない。

東堂夫人が用意する隠れ家がどこかはわからないけど、行き先が決まったら、いずれマンションは引き払うことにするつもりだ。