東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

反抗なんて、してもしなくても、答えはひとつ。夫人の登場がなくても未来は同じなのだ。

自分だって、最初から彼と結婚する気はなかった。
ということはむしろ、渡りに船なのではないか。


今のうちならば、まだ忘れることができる。

ひと時の恋。
派遣の恋。

寝室に飾るように置いてある、赤いリボンをつけた彼へのプレゼント。紺色のネクタイを想いながら、叶星は心で呟いた。


――ごめん副社長、私もうダメみたい。
まだ始まったばっかりなのにね。


決意をするように膝の上で拳を握った叶星は、顔を上げて真っ直ぐに夫人を見た。

「わかりました。ひとつだけお願いがあります」

「なにかしら」

「上手に別れる方法もわからないし、上手に身を隠せる方法も私にはわかりません。なので、その場所を探してもらえませんか? 東堂さまの指示に私は従います」

夫人はにっこりと微笑んで頷いた。

「わかったわ」