東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

『本当に、俺が嫌いか?』
そう囁くあの声が、私の大好きな低音ボイスなのがいけない。

『帰って来るまで連絡は出来ないと思う。寂しくてもいい子にしてるんだぞ』
声のついでにキスまで思い出し、お腹の奥からカッと熱くなった。

――ああ、だからもう。副社長の存在自体がいけないのよ!
どうしたいいのこれ。助けてよ、誰か。


バッグに忍ばせた名刺を思い出した。
バー『氷の月』。

氷室専務に会いに行く日は近いかも……。
そう思いながら叶星は深い溜息をついた。

「はぁー」

「どうしたの? 西ノ宮さん、なにかあった? 深い溜息ね」
振り返ると、ワコさんが心配そうに見つめていた。

「え、あ、いえいえ。契約ももう終わりだなぁと思って」

「そうね。西ノ宮さんがいなくなるのは寂しいわ。一番寂しいのは副社長だろうけど」

「えっ?」

「可哀想に副社長」
「や、やだなぁ。やめてくださいよ」