東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

彼が、副社長と言わずに大毅さんと言ったことに、責めているわけじゃないと言われているような気がした。

「はい……」

「わかった」

叶星は申し訳なさと羞恥心でいっぱいになった。
いまの聞き方からして、大毅本人から聞いた訳ではないのだろうと思った。恐らく社内中に噂は広がっていて、ついには『ヒムロス』の耳にまで入ったということなのだろうと。

彼が席まで迎えに来たりするからだという不満はあるが、それはそれ。
派遣先で恋愛沙汰など褒められることではない。

「すみません」と肩を落として俯く叶星の上から、仁の明るい笑い声が落ちた。

「謝らなくていいんだよ。別に責めてはいない」
「――でも」

「なにか聞かれたら、副社長から個人的に頼まれたリサーチに協力しているって言ってくれるかな」

「はい」

優しい微笑みを浮かべた仁は、胸ポケットから名刺を取り出してファイルの上に置いた。