化粧品メーカーだから様々な香りがするだろうと思っていただけに、はじめてここに来た時は意外に感じた。だが、聞けば意識的にオフィスの匂いは抑えているらしい。
世の中には香りが苦手な人もいて、強過ぎる匂いは公害と言われても仕方がないとは思うが。
――無臭では恋に落ちることは出来ないな。
などと、どうでもいいことを考えるうち、エレベーターは大毅のいる役員室のフロアに着いた。
廊下に出ようとすると、ちょうどエレベーター出入り口を避けるように黒崎が立っていた。
「どうも」
「副社長に?」
「はい、挨拶に」
「そうか」と意味ありげに瞼を伏せた黒崎は先を急ぐのだろう、「今度、店に行く」と言い残してエレベーターに乗った。
彼の様子がなんとなく気になって、閉じるエレベーターを振り返っている間に、どこからともなく女性秘書が現れた。
世の中には香りが苦手な人もいて、強過ぎる匂いは公害と言われても仕方がないとは思うが。
――無臭では恋に落ちることは出来ないな。
などと、どうでもいいことを考えるうち、エレベーターは大毅のいる役員室のフロアに着いた。
廊下に出ようとすると、ちょうどエレベーター出入り口を避けるように黒崎が立っていた。
「どうも」
「副社長に?」
「はい、挨拶に」
「そうか」と意味ありげに瞼を伏せた黒崎は先を急ぐのだろう、「今度、店に行く」と言い残してエレベーターに乗った。
彼の様子がなんとなく気になって、閉じるエレベーターを振り返っている間に、どこからともなく女性秘書が現れた。



