さて、そんなことがあった数日後の木曜日。
氷室仁は『ヒムロス』の専務として、『兎う堂』へ行く用事があった。
派遣社員の契約の見直しなどのことで総務部長と会う約束をしている。
「『兎う堂』に行ってくる。何かあるか?」
「特にはないはずですが、確認します」
担当者はそう言って『兎う堂』のファイルを取り出し、仁はそれを一緒に見る。
「いま、うちからは何人行ってる?」
「えっと、十五人ですね」
忙しく視線を動かしながら、担当はファイルを捲っていく。
その中にちらりと西ノ宮叶星の履歴書も見えた。
「皆さんとても評判もいいですし、契約も更新になる予定ですが」
ファイルの最後まで目を通した彼は、パラパラとページを戻した。
西ノ宮叶星のページだ。



