黒崎も知らないわけじゃない。
先週の金曜日。雷が落ちた日だ。
営業部の会議に出席していた彼は、戻ってくると雷の影響がどこにもないことを確認した後、今日は帰ると言った。
特に急ぎの用事がなければ早く帰ろうと思う。
彼は前の日からそう言っていたので、なにも不思議には思わなかった。
どうして早く帰るのかは彼はその理由を言わなかったし、黒崎も特に聞かなかった。
彼がその足で広報部まで西ノ宮叶星を迎えに行って、ふたり仲良く帰ったらしいと聞いたのは、それから間もなくのこと。
噂は電光石火のごとく社内を駆け回ったらしい。
それを聞いた黒崎は驚いたといえば驚いたし、納得もした。
彼女の調査を頼まれた時から、ある程度は予想していたからだ。
でもまさか、そこまで大っぴらな行動に出るとは。
半ば感心する思いで黒崎は溜め息をつく。
――やれやれ。



