愕然とする思いでパクパクと口を開ける叶星を見下ろして、
「ん? どう考えても。なんだ?」
ニヤリと口元を歪める彼は、「言えよ」と意地の悪いことを言う。
――だいたいあなたが席まで迎えに来たりするから、こんなことになるんじゃないですか!
「もう、ほんとにもう」
唇を噛んで睨んだが、彼はクスクスと笑うだけだ。
「あんまり怒っていると、警備員が監視カメラに反応するぞ」
ハッとしてカメラに目を向けた叶星は、慌てて背筋を伸ばして真っ直ぐ前を向いた。
――悔しい。悔し過ぎる。
結局振り回されるのは私だけなんだから。
エレベーターの扉を睨みムッと眉をひそめた時、右手の指先に温かい何かが触れた。
胸の鼓動がギュンと跳ねて、反射的に指を離そうとすると、追いかけるように長い指が絡んでくる。
動く指先に刺激され、込み上げる熱に耳まで赤くなるのが自分でもわかった。



