――よ、予約?

「西ノ宮さん、早く早く」
訳もわからないはずのワコさんが、何故か急かす。

「あ、は、はい」

フロア、廊下を歩く人、みんなの注目を集めながら叶星は隠れるようにして大毅の一歩後ろを歩いた。

「あ、あの、副社長、本当に行くんですか」

「ああ、予約したからな。焼き鳥屋。美味しいんだろ?」
「えっ?! あの焼き鳥屋予約したんですか?」

「予約しないと入れないほど混んでいるって言ってただろ? 嘘なのか?」

「嘘じゃないですよ、本当に混んでいて美味しいんです。とっても美味しいですけど、でも全身臭くなっちゃいますよ? 煙もうもうで。副社長、似合いませんよ?あの店で浮きまくりですって」

「ごちゃごちゃやかましいな。他の店がいいのか?」
「い、いえ、いいです焼き鳥屋で」

――なんの文句もありませんよ、ありませんけど。

ほんとうにいいんですか? 
みんな見てますよ、副社長?