いつの間にか電気が点いていて、叶星は大毅に促されるようにして一緒に廊下に出た。
「仕事を片付けたら迎えに降りてくるから、席で待っていて」
なんだか夢の中にいるようにぼんやりとしたまま頷いた。
「……はい」
自分とは反対側に歩いて行く彼を一度だけ振り返り、とぼとぼと席に戻った。
頭はなんだかとろりと溶けたように力が入らなくて、ジンジンと胸が熱い。
熱いのは胸だけじゃなくて唇も――。
「大丈夫だった? 倉庫も停電したでしょ?」
「へっ?」
ギョッとしたように振り返ると、ワコさんもつられたように驚いた。
「な、なにかあった?」
「あ、いえいえ。雷も停電もビックリでしたよ」
「ほんとよね。で? 副社長が西ノ宮さんのことを探しに来たけど、会えた?」
今度はドキッとした。
「あ、ええ、はい……」
「たまたま営業に来ていたらしくてね」
「そ、そうなんですか」



