『俺さ叶星のこと、ずっと好きだったんだぜ』
そう言ってキスをしたけれど、突然のことに目を開けたままで歯がぶつかって。
あの時も叶星は、相手を突き飛ばした。
そして彼は不貞腐れたように背中を向けて、歩いていってしまった。
壁に隠れて、叶星は一度も振り返らない彼の背中を見ていた。
その彼に恋人が出来たと聞いたのは、それから一週間後だっただろうか。
心に傷が出来た時、ああ、私は彼のことが好きだったんだと叶星は初めて気づいた。
細やかで儚い、咲くこともなく終わった。恋とも呼べないような恋。
でも、副社長のキスは全然違っていた。
歯がぶつかるなんてこともなかったし、それどころか一瞬で、まるで魂が吸い取られたような、腰が抜けたかと思うような、そんな怖いほど素敵なキスだった。
壁に隠れて見る余裕なんてなくて、部屋まで走って逃げた。
必死で逃げた。
――副社長、強いんでしょう?
そう言ってキスをしたけれど、突然のことに目を開けたままで歯がぶつかって。
あの時も叶星は、相手を突き飛ばした。
そして彼は不貞腐れたように背中を向けて、歩いていってしまった。
壁に隠れて、叶星は一度も振り返らない彼の背中を見ていた。
その彼に恋人が出来たと聞いたのは、それから一週間後だっただろうか。
心に傷が出来た時、ああ、私は彼のことが好きだったんだと叶星は初めて気づいた。
細やかで儚い、咲くこともなく終わった。恋とも呼べないような恋。
でも、副社長のキスは全然違っていた。
歯がぶつかるなんてこともなかったし、それどころか一瞬で、まるで魂が吸い取られたような、腰が抜けたかと思うような、そんな怖いほど素敵なキスだった。
壁に隠れて見る余裕なんてなくて、部屋まで走って逃げた。
必死で逃げた。
――副社長、強いんでしょう?



