東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

会社の廊下やエレベーターで会うならまだしも、会社の外でそんなに何度も偶然が重なるなんて少し不自然すぎないだろうか。

スポーツクラブで会ったのは本当に偶然だったと思う。
『いたのか』と言っていたし、忖度とか色々言った割には、結局彼は営業で来ていたのだから。

となると、二度目の水曜日は?
『どこで食事をしようかと迷っていたら、ちょうど君が見えたんだ』と彼は言っていた。
普段は帰りが遅いらしい彼も、水曜日はノー残業デイなのでたまたまあの時間に通りかかったのだと。

マジックで箱に星型バルーンと書きながら、叶星は「うーん」と唸る。

――やはり偶然か。
たまたまが続いただけで、特に意味なんてない。

偶然じゃければ、なんだって言うの?
副社長が私を付け回しているとでも?
ないない。さすがにそれはない。自意識過剰過ぎだ。

やっぱり考えすぎだと、叶星は自分に呆れたようにフゥっと息を吐いた。