東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

それに答えて、『ほんとに?! 絶対ですよ!』と、そこまではご機嫌だった。
でもその後。

『俺より猫がいいのか』

そう言ってふいに抱き寄せられて、

『ふざけた奴だ』

気がついたら唇を塞がれていた。


咄嗟のことに腰を抜かしそうになり、それでも突き飛ばしてマンションの中に駆け込んだけれど。

――あれは。夢じゃないんだよなぁ。

ハァ……。

そんなに飲んだわけでもないのに、酔っていたんだ。

日本酒が甘くて美味しくて、つい。

見た目は変わらなかったけど、副社長はかなり酔っていたんだ。

だって、おかしいもの。
キスする理由がないもの。

酔いにまかせた気の迷いとしか考えられない。わかっているけれど。

でも。

どうして?
どうしてキスなんか……。

胸の奥のほうから熱がこみ上げてくる。いまでも唇に彼の温もりが残っているような錯覚を覚えた。

――キスまで上手だなんて、ズルい。