東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

こんな時、気分を害している原因が会社や仕事関係であるなら、彼は必ず口にする。
秘書である黒崎に黙っていていいことなどないからだ。

理由を言わないということは、仕事関係で苛立っているということではないのだろう。

昨日プライベートでなにかあったのかもしれない。

気分屋ではない彼にしては珍しいとは思ったが、黒崎はひとまず話を進めた。


「では、今日の予定を確認させていただきます」

時折頷きながら彼は黙って話を聞いている。
その様子はいつもと変わらなかった。

「ということで以上です」

「ああ」

「なにかございますか?」

「いや」

「では失礼します」

軽く頭を下げて執務室を出ようとしたその時、「なぁ黒崎」と声が掛かった。

黒崎が振り返ると、彼は窓の外を見つめながら口を開いた。


「例えば、女をマンションの前まで送って行ったとする」

――え? 女の話?