あの時大毅は、俺には関係ない話だと聞き流した。
だが今になって、彼が言った言葉がやけに木霊する。耳に残って離れないのだ。
仁が恋に落ちたという女が誰だったのか。
聞こうとしたが、彼の横顔に心の傷が浮かび上がっていたように見えて、なんとなく口にはできなかった。
次の瞬間にはいつもの不敵な男の横顔に戻っていたが、あれは気のせいだったのか。
――らしくもない。
厄介とはなにごとだ。
手で掬い上げるように女の心を操る仁が、厄介だという恋を大毅は知らないし、知りたくもない。
そもそもこの歳になって初恋などするはずがないという確信はあるが、ゾワゾワとした不吉なものが心のどこかで蠢く。
仁がおかしなことを言うからだ。
ため息をつきながら恋人たちから目を逸らし、通りの反対側に目をむけた。
すると、――ん?
目に留まった見覚えのある後ろ姿。
だが今になって、彼が言った言葉がやけに木霊する。耳に残って離れないのだ。
仁が恋に落ちたという女が誰だったのか。
聞こうとしたが、彼の横顔に心の傷が浮かび上がっていたように見えて、なんとなく口にはできなかった。
次の瞬間にはいつもの不敵な男の横顔に戻っていたが、あれは気のせいだったのか。
――らしくもない。
厄介とはなにごとだ。
手で掬い上げるように女の心を操る仁が、厄介だという恋を大毅は知らないし、知りたくもない。
そもそもこの歳になって初恋などするはずがないという確信はあるが、ゾワゾワとした不吉なものが心のどこかで蠢く。
仁がおかしなことを言うからだ。
ため息をつきながら恋人たちから目を逸らし、通りの反対側に目をむけた。
すると、――ん?
目に留まった見覚えのある後ろ姿。



