東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18



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カチッ。カチッ。
画面の中で次々と現れる書類の承認ボタンを押す。

そのクリック音が止まった時、東堂大毅はチラリと時計を見た。

今日はノー残業デイの水曜日。

よほど急ぎの用件がない限り、意識的に役員も帰ることになっている。
それでも帰れないことの方が多いが、今日は珍しく仕事も粗方片付いたので、大毅は帰ることにした。

黒崎と食事がてら飲みにでも行こうかと考えたが、彼は今日、珍しく有給休暇をとっていることを思い出す。

まっすぐ帰ろうかとも思ったが、なんとなく外で飲みたい。

マンションの近くで車を降りて適当に店に入ろうか、それともまた仁の店でも行くか。
運転手にはとりあえずマンションに向かうように伝えたが、まだ迷っている。

さてどうしようと思いながら外を見ていると、楽しそうに手を繋いで歩いている恋人同士が目に留まった。

ふと脳裏に浮かんだ仁の声。

『"あれ"は厄介だ』