東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

鮭トバはふたつに分けて盛り付けてあった。
脂で艶めいている鮭トバの身と、こんがりとローストされている皮。大毅が口にしたのは赤褐色の身の部分。ゆっくりと味わった大毅は頷いた。

「美味い。フルーティな、いい香りもする」

シェフが静かに目を細める。
「林檎の木のチップを使っています」

「へえ」

それから仕事が忙しいとかそんな他愛もない話をして、大毅が叶星の話をはじめたのは鮭トバが無くなり、仁が彼女のことを忘れかけた頃だった。

「なあ仁」と大毅は話を切り出した。

「あの女が他の女と違うように感じるのは、お前が興味を持っている"何か"が原因なのか?」

仁は首を傾げた。
西ノ宮叶星が、他の女の子とは違う? そんなふうに考えたことはない。

"何か"が"宝くじに当たった"ことだとは、彼は知らない。