東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

通り過ぎようとした席にいたのは、なんと東堂副社長。向かいの席には彼の秘書の黒崎がいた。

仕切られた衝立の影で入口からは彼らの姿が見えなかった。
目が合ってしまった今となっては、Uターンするわけにもいかない。


「ど、どうも、お疲れさまです」

そのまま過ぎようとすると、「いいぞ、ここ」と彼が言う。

「え、で、でも」

と言った途端、副社長の眉が不満げにピクリと動く。
できることなら遠慮したいが、よく見れば彼らはほとんどを食べ終わっているようだ。

それに混み合う店内で貴重な四人掛けの席を独占してしまうのも申し訳なく、相席させてもらうことにした。

「……すみません」

そっと黒崎の隣に腰を下ろす。

テーブルは大きい。手を伸ばしても彼らに届かない、ゆったりとした広めの席なのが救いである。

ほっと胸を撫でおろすと、香ばしいかば焼きの匂いに刺激され、途端にお腹がペコペコになった。