私が記憶しているのは、なかなか鳴り止まない救急車のサイレンの音と大切な何かを失ってしまい、心にぽっかりと大きな穴が開いたような感じがしただけだった。

そう…、この日私はこの世で最も大切な「家族」を失ってしまった。
さっきまでは笑顔で「桜」と呼んでいた声も今は跡形もなく消えてゆく。
この瞬間から私は悲しみで心が浸されていた。カラフル色だった私の心はあっという間に黒色に染っていった。