「 人間の分際で、勝負しろだと? 」

黒ブチ眼鏡の天使は、そう言うと、お腹を抱えて、笑い出した。

「 ハッハハハハーッ! 」

しばらく笑い続けると、真顔になり、

「 面白い。」

「 本当は、貴様を、生け捕りにして、天界に連れて行く予定だったのだが…。」

「 …仕方がない、多少身体が捥げていても、天は許してくれるだろう。…そうとなれば。」

「 貴様の申し出、受けて立とう。」

ヤツは杖を俺に向けて、宣言した。


ダメージを受けて、横たわる蓮を介抱しながら、俺は蓮に言う。

「 なんか、よくわからないけど、俺死んじゃうかもしれないけど、このまま、一方的にやられたままじゃ嫌だ。」

俺が、黒ブチ眼鏡に一矢報いる覚悟を、決意してヤツに向かおうと、蓮から離れた瞬間。

俺の手を、力強く握られ行けなくなった。

「 クックックック…。」

「 そーいう事だったのか…。予想していた通りだ…。クククッ…。」

「 !? 」

今までの蓮とは、違う何かが、蓮から現れる。


「 俺の獲物に手を出すとは、天界の小賢しいハエが、何様のつもりで物申しているんだ? 」

「 れ、蓮?? 」

今までの蓮とは、違う蓮の雰囲気に、異常な、何かを感じて、俺は、頰に冷や汗が伝った。

「 何ーーっ!! 」

黒ブチ眼鏡は、それに気づかず、逆上している。

「 さっきまで、貴様は私に抵抗すら出来ず、やられていたではないか!! 」

黒ブチ眼鏡は、杖を振りかざし、風を繰り出す。

竜巻のような、風が、蓮に襲いかかって来る。

蓮は、俺を後ろに突き飛ばし、襲いかかる風に向かって、手を振り下ろした。

風が真っ二つに割れ、蓮が繰り出した風が、黒ブチ眼鏡に襲いかかる。