笑顔のキミを



「うわあ・・・」


そこには、満面の笑みの咲良がいた。

まわりにはなにもうつっていない。

このフレームに、咲良だけ。

少しだけ上を向いた咲良が、とても楽しそうに笑っていた。


その写真をみたとき思った。

咲良には、はじめから勝てなかった。

そしてこの神谷凛斗にも。



彼はプロのカメラマンじゃない。

わたしを撮ってくれてるようなカメラマンではない。

そして彼女もまた、ただの一般人。

わたしのようなモデルをしているわけでも、芸能活動をしているわけでもない。


これはきっと、この2人だからこそ撮れた写真。

なにもかもをさらけだせて、信頼していて、ずっとそばにいたからこその写真だと思った。