俺は写真を撮るのが好きだった。 親も親戚も、誰一人としてカメラに詳しい人なんていなかったのに、俺がカメラを好きになったのは咲良が俺におもちゃのカメラをくれたから。 そのおもちゃのカメラは、咲良の誕生日に咲良の両親がくれたもの。 そう、咲良のお父さんがカメラマンだったんだ。 そして咲良はそのおもちゃのカメラを俺に渡すとこういった。 「わたしを撮って?」 あのとき咲良にそう言われたから。 おもちゃのカメラだから別になにがあるってわけじゃない。 ただ、カシャっていう音がするだけ。