そう言い、ローズは女の子の両手を包む。この花はローズにとって特別な花なのだ。思い出が次々に蘇り、泣きそうになる。

「私と同じ名前?嬉しい!こんなに綺麗な花なんだ!」

女の子が無邪気に笑う。その笑顔はローズの愛している人によく似ていた。ローズの目は暖炉の上に置かれた写真に向けられる。

ウェディングドレスを着たローズの隣に、立派な軍服に身を包んだ男性がいる。しかし男性の顔は、軍人には似つかわしくない笑顔だった。

ローズの胸に想いがあふれていく。そして、ローズは呟いていた。

「私は、あなたに会いたくなる」



時は数年前に遡る。ローズはまだ学生だった。今日も深い青のリボンのついた制服を着て学校に通う。そんなローズを、女の子たちは羨望の眼差しで見つめるのだ。

「見て!あれ、フローリア学園の制服よ」

「さすがフローリア学園の生徒ね。お上品で華があるわぁ〜」

女の子たちの言葉に、ローズはため息をつきたくなる。ローズは女の子ならば誰もが憧れるお嬢様学校に通っている。そこで毎日立派な淑女になるために勉強を重ねるのだ。