「失礼いたします。ローズ・スターチスさんですか？」

泣き続けるローズに声がかけられる。ローズは涙を拭い、振り向いた。白いローウエイトワンピースを着た美しい女性が立っている。

「あなたは……？」

「申し遅れました。代筆屋をしております、メーガン・フリージアです。今回はステファン様からご依頼を頂き、手紙をお渡しに参りました」

メーガンはスカートの裾を持ち上げ、お辞儀をする。その動作はまるでお嬢様学校の生徒たちのようだ。

「ステファンから？あなた、戦場に？」

誰が行くのも危険な場所だ。ローズは驚く。しかし、メーガンは微笑んだまま言った。

「お客様が望むのなら、いつでも、どこでも駆けつける。それが私の使命ですので」

メーガンはそう言った後、ローズにステファンからの手紙を渡して去って行った。その後ろ姿を見送り、ローズは震える手で手紙を開ける。形見となってしまったものだ。

手紙はステファンの死を知らせた時のものとは違い、長い文が綴られている。その言葉一つ一つを、ローズは読み始めた。