淡い期待を胸に立ち去ろうとすると 「……名前は?」 少し威圧感が薄れた、梅永君の声した。 意外だな、他人に興味なんて無さそうな梅永君から名前を尋ねてくれるなんて。 「詩央(しお)! 菊島詩央(きくしましお)」 1度だけ振り返って、弾んだ声で答えた。