っ恥ずかしい…!

 顔から火が出そうな程熱が集まってしまった。

「あはっ…不敬って、僕庶民だよ?」

 楪くんって一人称僕なの…!?

 か、可愛い…

「あ、あの楪くん…何の用でしょうか…」

 そうやって聞くと、楪くんはゆっくりと首を傾げた。

 私が言っている事が理解出来ないらしい…

「あ、僕図書委員で。前回体調崩して休んだから、今日しとこうかな〜って」

 委員会同じだよね…?と聞かれて、慌てて唇を開く。

「同じです…」

 残念な事に…

「…え?」

「はい?」

 唐突な疑問の声に、思わず声が漏れてしまった。

 楪くんの様子をチラリと伺うと、心底驚いたような表情をしていて、ほんの少し焦る。

「え、私何かしましたか…?」

 少し怖くなって聞いてみる…と。

「残念な事に…とかさ、失礼だと思わないの?」

「…へ?」

 全く状況が理解出来ていない私をそっちのけて、楪くんは更に言葉を続ける。

「王子に対して不敬じゃないの?まぁ、その様子じゃ、心の声が漏れた感じなんだろうけど」

 王子は心底軽蔑したような目で私を見つめてきた。

 えっ?

 もしかして私、思ってたこと口に出しちゃった?

 って、そういう事じゃなくて…!

 何だか口調に、とてつもない違和感を感じたんだけれど、気のせい…なんかじゃ流石に無いよね…?

「何で黙ってるの?」

 あの優しい王子の怒りの込められた声に、心臓が震える。

 違う、これはそういう心臓の震えじゃない。

 恐怖…だ。

「いいや、思い通りにならない玩具はいらないし」

 お、玩具…

 分かっている、あの優しくて温厚な王子を、かなり怒らせているということは。

 でも…声が出ない。

 普段怒らない人の怒った所はとてつもなく怖い、というのは本当のことだったらしい。