-10年前

「翠誕生日おめでとう!」

8月1日
私は7歳の誕生日だった

「パパ!ママ!だいすき!」

その日の夜、私はわがままを言った

「ねぇパパ!わたしお星様みたい!」

雨が降っていた
雷も鳴っていた
それでも、どうしても、星が見たかった

「すーちゃん!わがまま言わないの!今日は雨がすごいから晴れた日にしましょ?」

「そーだぞ翠。そうだ!パパとてるてる坊主を作ろう!」

パパとママはそう言ったけれど、わたしは全然納得いかず、

「わたし1人で見に行ってくるもん!」

そう言い大雨の中家を飛び出していた。


ここはどこだろ?
雷すごいな
「お星様見えない、、うぅ、、、」

気づいたら泣いていた
寂しくなっていた
「パパ、ママ、迎え来てぇえ」

うずくまって泣いていた

「お前なにしてんの?」

少年が立っていた
同じ年くらいの男の子が聞いてきた

「お星様見たくて、お家飛び出してきたけど、雷怖くてぇ、うわーん」

わたしはその少年に泣きついた

「家、帰れよ」
「ここがどこかわからないの、」
「途中まで送ってやる、だから泣くな」

ぶっきらぼうだけど、優しかった

横断歩道まで来た時、パパが見えた
信号も見ずに私は駆け出していた

「パパ、!!!」

トラックが来ていることも気づかずに、

「翠!」
「お前、!」

パァーー!

わたしを助けたのはパパだった
血を流し倒れているパパを見て私は気絶した
パパは私に何か言っていたが

それを理解するのは少し大きくなってからだった


起きた時全てを悟った
小さいながらに、全てを、
パパが死んだことも、ママが私を睨んでいることも、