「あっ!港街が見えてきたぞ〜!!」

青い旗をなびかせながら、一隻の船が航路を進んでいく。やっと見えた街に船員たちははしゃいでいた。これからしばらく航海は休みとなる。

「……また留まるんだ。今度は何日ここにいるんだろう」

与えられた質素な部屋で金色の長い髪に青い目の美少女ーーーロゼッタは窓の外に久しぶりに見える街の景色に暗い声が出る。長い船旅を続ける船員たちは喜んでいるが、ロゼッタは早く出発したいと思っているのだ。

「イリーナ……」

ロゼッタは胸元に隠したロケットペンダントをそっと開ける。中には写真が入っていた。ロゼッタとロゼッタによく似た女の子が写っている。

「……あなたは今、どこで何をしているの?」

ロゼッタの瞳から涙がこぼれる。船員たちの歓声にロゼッタの泣き声はかき消された。



ロゼッタが乗っているのは、ブルーという名の海賊船だ。しかし、海賊船とは言っても悪い海賊ではない。人々の願いを叶える不思議な海賊船だ。

「俺たち四人を中心に、この船は世界中を巡っている。世界中に願いを叶えてほしいと望む人がいるからな」