「……コレラ……?一体、何で……」

陽葵は思わず、日本語で呟いてしまった。コレラは、経口感染症の1つだ。日本では、三類感染症に分類されている。

「……そうか。エイムズさんは、コレラで亡くなったのか。スミス刑事、エイムズさんがアフリカに行ったことあるとか、分かるか?」

「……調べてみないと分からない。けど、何で……」

「アフリカは、コレラに感染する危険があるんだ」

オスカーの言葉に陽葵は頷き、スミス刑事は、なるほどな、と理解した顔をした。

「分かった。調べてみる」

そう言って、スミス刑事はポケットからスマホを取り出して、電話をし始める。

「……もしもし。調べてほしいことがあるんだけど……エイムズさんの渡航履歴はあるか?エイムズさんは、コレラに感染していたそうで――え?そうなんだ。分かった」

そう言って、スミス刑事は電話を切った。

「……すでに、調べていたそうだよ。エイムズさんは、アフリカには行ってないらしい。そもそも、イギリスから出たことすら無いんだって」

スミス刑事の言葉に、オスカーは顎に手を乗せる。

「……」

4人の間に、沈黙が流れた。

「まぁ……考えていても、仕方ないんじゃない?」