「…ただいま」
「あ、おかえり、ゆら。ごめんな、ほんとは心配だったから迎えに行きたかったんだけど…」
「…海 (かい) くん、私、もう高校生だよ?やっぱりそんなに頼りない…?」
エプロン姿で玄関まで迎えに来てくれたあの人もとい海くんに、私は肩を竦めてみせる。
「いや、そうじゃねぇけど…。いつまで経っても俺にとってゆらは可愛い妹だから」
そう言いながら困ったような笑みを浮かべる海くん。
…分かってる、分かってるよ。
海くんが私に対して大げさなくらい過保護になるのは、ほんとは私が頼りないからじゃないってこと。
───“あのとき”みたいなことが繰り返されることを恐れてるいるから。