───それは一瞬。
一秒にも満たない、ほんのわずかな時間。
私は、間違いなく目の前の彼に恋に落ちた……
でも、前にも言ったように、今まで恋というものを経験したことがなかったからか、この、言葉ではなんとも言えないような不思議な気持ちが恋だと気づくのはもう少し先のこと。
今は彼の黒くて美しいその瞳に、ただただ吸い寄せられていた……
一方の彼は、私が無意識に発した言葉に少なからず驚いたらしかった。
さっきと変わらず無表情だけれど、僅かに一瞬目を見開いたのを私は見逃さなかった。
「……俺の瞳が、綺麗……?」
何を言ってるんだ、とでも言うように少し困惑気味に彼から呟かれた言葉。