玄関で上履きからローファーに履き替えた私は、ある場所へ向かう。


それは、さっき真瑚ちゃんが教室で言っていた“あそこ”のことで、その場所を見つけたその日から、放課後は毎日その場所へ通っている。




「良かった、誰もいない…」


キョロキョロと辺りを見渡して誰もいないことを確認すると、私はその場所へ駆け寄った。


そこにあるのは、小さな花壇。


今の季節は春だから、チューリップとかネモフィラとか春の花が色とりどりにたくさん咲いている。


ここは私が私でいられるための欠かせない居場所。


体育館の裏の一角でこじんまりとしているから誰にも邪魔されないし、そもそもこの近くを通る人もほとんどいない。