私は先天性心疾患だった。
いわゆる生まれつきの心臓病。
18まで生きていられるか分からない。
発症、発覚したのは6歳の頃。
その時はどんな病気なのかよく知らなかったから、母親とずっと一緒なのが嬉しくてたまらなかった。
でも、家から出ることはなくて、出るとするなら病院に行く時くらい。
家ではずっと本を読んでいたの。
もし学校に行けた時に遅れを取らないように、ね。
そしたらお母さんがワークを沢山買ってくるからちょっと勉強に対して嫌悪感を抱いたよね…
それでもお母さんは私のためを思ってくれてることはちゃんと分かってたよ。

もうひとつすることと言えば窓からあの子を見ること。
多分歳は同じくらい?何じゃないかな?
男の子なんてあんまり会ったことないしもちろん女の子もなんだけど、でも、私にはあの子がものすごく輝いて見えたの
一瞬でそのトキメキに落ちてしまった。
茶色い髪にふさっとした髪色白の肌はクオーターみたいでとってもかっこいい
私なんてボサボサで薄くて肌なんか青ざめてる。
小さいながらにかわいくなりたい!って思った瞬間でもあったよ

それから眺め続けて10年私は16歳になった。
多分彼も16歳
最近変わったことがある私に存在に気付いたこと。
目が合って私に笑いかけてくれたのに
とっさに私は隠れてしまった…
また明日チャンスがあるかな?

次の日また眺めてみた。
そしたら彼が通りかかって今度は私に話しかけてきたのだ。
私は急いで窓を開けた。
そして彼が
「君ずっと前からそこからながめてたでしょ?ずっと気になってたんだ。君がなぜ家から出ないのか。
学校には行ってる気配もないし、通信制だったり?」

私は嘘をつこうか迷った。
もし本当のことを言ったら同情されるんじゃないかって、でも、彼の目を見たら嘘をつけなかった。

「私生まれつき心臓病なんだ。だから、学校に行ったら迷惑ばかりかけてしまうわ。
それなら自分で勉強しようと思って家で頑張ってる。
中学校の卒業試験もちゃんと受かってるし、かなりギリギリだったけど…」

そしたら彼が

「それなら僕が君の家庭教師になるのはどう?
そしたらそのギリギリも余裕になると思うし、高校生の内容選択とかもあって結構難しくなるし…
どうかな?」

私は嬉しくて仕方がなかった!
だって10年間の片思いがついに動き出したんだもの!!

私は
「お母さんに相談してみるよ」
とだけ伝えた
その夜お母さんに相談してみたらあっさりOKしてもらえた意外だったから理由聞いてみたら高校生の内容はさすがにもうムリだったみたい…

そして次の日それを彼に伝えたら
今日の夕方から来てくれるみたい。
私は慌てて身支度をした。
こんなに急いだのは初めて。

それからというもの家庭教師をずっと続けてくれた。
おかげて私は高校卒業認定試験に余裕で合格できた!
それにわかったことがある。
彼の誕生日は7月7日の七夕の日
好きな食べ物はオムライス
ピーマンが苦手で甘党らしい。
そして諦めが悪い。
歳はまさかの一個下で17歳 よく教えてくれたな〜って感じ。
そんな彼も今年は大学入試だから、足を引っ張らないように身を引いた。
最後の思い出として生まれて初めて花火大会に行った。最後に別れを告げたら彼は私を引き止めた。
そして私に
「ずっと前から好きだった。君が窓からながめてた小さい頃から。どんなに彼女ができてもトキめかなくて、君に話しかけたあの日に今まで感じたことのないトキメキを感じたんだ。ずっと君のそばにいたい
あなたが好きです
あなたの彼氏にならせてくれませんか?」

私は嬉しかった。それと同時に涙が溢れた。これは、喜びからじゃなく寂しさからだ。私に残された時間はあとわずか
この間医師からの診断であと半年もつかどうか、むしろここまで生きたのが奇跡だと言われたばかりだった。

だから私は嘘をついた。

「ごめんね、君の気持ちには答えられないの。君には私じゃなくてもっといい人がいるよ。君は私にとってただの家庭教師にしかすぎないの。だから、ごめんなさい。」

そして私たちはその日を最後に会わなくなった。

春風とともに病室の窓から桜が入ってきた。
彼は合格したのだろうか?
いい人に出会えていたらいいな…
なんて思っていたら病室の窓が開いて彼が入ってきた。そして私にこう言ったのだ。

「お母さんに全て聞いたよ。
あと少しでこの世から君が消えてしまうのかもしれないって。
だから、あの日僕を突き放した。
僕が苦しまない方法で。
でも、いっそ嫌いだと言ってくれないと僕は諦めが悪い男なので。
あの日の返事もう1回聞いていい?

あなたが好きです
あなたの彼氏にならせてくれませんか?」

私は涙ながらに「はい」と答えた。
嬉しくて涙が止まらなかった。
家族がみんな入ってきて彼の肩を抱き寄せながら"ありがとう"って言ってた。
そして彼は私にプレゼントをくれた。
開けるとそこには真っ白のドレスが入っていた。
ウェディングドレスだ。
ホントに私が、NOって言ったらどうするつもりだったのだろうか?と思いながら笑った。
そして医師に許可をもらって、病棟の近くの教会に、向かった。
ホントにNOって言ったらどうするつもりだったの?!って、笑ってしまった。

私は真っ白のドレスを
彼は真っ白のスーツを身に纏って
誓のキスを交わした。そして彼は花の指輪をはめてくれた。
速攻で作ったんだろうなと思うと笑ってしまった。

そして次の日私は真っ白のドレスを纏ったまま深い眠りについた。
家族に囲まれながら眠りについた。


そして彼は私にそっと優しいキスをした。