「きっとまだご飯食べてないと思ってね、胃に優しそうなもの持ってきたの。ところであの子は?」
「あー、部屋でまだ……。」
「そう。じゃあ、叩き起こしてくるわね。お部屋お邪魔してもいいかしら?」
「あ、はい。」
私の返事を聞くと、おばさんはすぐに部屋に行った。部屋の方から聞こえるエセの不満そうな声と、おばさんの少し怒ったような声。やっぱり、はたから見たらただの親子にしか見えない。
なんてことを考えていると、おばさんとエセがリビングにくる。そしてなぜか片腕を抑えているエセ。
私の視線に気づいたエセはおばさんを軽く睨みながら、わざとらしいため息をつく。
「踏まれたんだよ。」
「あら、仕方ないじゃない。床に大の字になって寝てるあんたが悪いのよ。」
親子ゲンカにしか見えないやりとりを聞き流しながら、私はエセにもお茶を出す。
その後は、おばさんが持ってきてくれた朝食兼昼食をいただいた。食べ終わるのをしっかり見届けたおばさんはエセに言われるがまま一人で帰っていった。
「帰してよかったの?」
「ああ。言ったろ?一緒に行くって。ま、お前の恋人の家族からしたら俺は赤の他人だから、結局話をするのはお前一人だけど。ま、近くで待機しててやるよ。」
「そっか。どーも。」
これから、そうちゃん家にいくんだよな。
昨日はエセに押されて決めたけれど、いざとなるとやはり足がすくむ。もちろん、決意に揺らぎはないが、やはり怖い。