美鈴と抱擁を交わし、シュンくんとアツシくんを見ると、二人もボロボロに泣いていて、少し笑ってしまう。
「かほ。」
エセが私の前に立つ。
エセは目をそらし、照れ臭そうに頭をかいてから、もう一度私の目をじっと見つめる。
「すぐ追いついてみせるから、それまで、他のやつに目移りしたりすんなよ。追いついたら、その時、ちゃんと、俺の気持ち伝えるから。」
「うん。」
「じゃ、またな。」
「うん。また、ね。」
私はみんなに背を向けて歩き出す。隣をお母さんが歩く。
我慢していた涙が一気に溢れ出る。
一気に思い出が溢れてくる。
短い間だったけれど、たくさんの大切なものと出会えた。大切なことを知った。
「うっ…。」
ずっと側にいられたらいいのに。
そう思ってしまうのはきっとただのわがままでしかなくて。
それでも、そう思えるものに出会えたこの奇跡をこれからもずっと大切にしていこうと心に誓った。
今度は、一人で、この夢の続きを追いかけるんだ。