「私は!」

 ねえエセ。

 あんた、嘘が下手だよ。泣きそうな顔してる。どうして、さっきは気付けなかったのかな。ああ、目をそらしてしまったからだ。

「私はあんたが好き!!」

 ねえ、エセ。

 私に触れさせて。

 あなたの傷に。

 あなたの心に。

「お前って、ほんと、バカだな。」

 エセはそう言うと私の腕を引く。そして、力強く抱きしめる。

 私はそんなエセを抱きしめ返した。

「かほ、ごめんな。」

「ううん。」

「ごめん。ごめんな。」

「謝らないで。私は、大丈夫だから。」

 エセの私を抱きしめる手が緩む。私も手を緩めると体が離れた。

 視線が再び絡み合う。



「かほ、俺の話、聞いてくれるか?」

「うん。聞くよ。」