黒い桜の花は、散ることしか知らない(上)

 S2店定休日ー。
 あたしは、Mちゃんと遊んでいた。
 「この前、S2店に行ったの。
SI に会いたくて。」
「へぇー。。
誰と行ったの?」
 あたしの問いに黙る、Mちゃん。
 「どうしたの?」
「実は…。
1人で…。」
「1人で?!!
(ずっと、1人で行くの、嫌がってたのに…。)」
「うん。
どうしても、会いたくて…。
夜中に、家を抜け出したの…。」
「「家を抜け出した。」?!!
(そこまで…。)」
「(夜中だから、大丈夫。)と思って…。」
「そうか…。
1人で行ってみて、どうだった?」
「暇だったから、たくさんの人がついてくれたよ。」
「そうなんだ…。」
「SE君もついてくれたよ。」
「そうなんだ…。
(YTついたんだ…。)」
 YTは仕事なのに、胸がギュッとなった。
 「初めて、(この人が、SE君か…。)って思った。
SE君、可愛いね。」
「可愛いかな?
かっこいいと思うけど…。
優しいし…。」
「あっ、SE君に、本名教えてもらっちゃった。」
「えっ…。
(あたし…、顔が引きつってる…。)
(落ち着け…落ち着け…。)
し…下の名前だけでしょ?」
「ううん。
フルネーム。」
「えっ…。
(落ち着け…落ち着け…。)」
「SE君、「内緒。」って言ってた。」
「えっ…。」
「SE君、えりちゃんには、教えてくれた?」
「う…ううん…。
(落ち着け…落ち着け…落ち着け…。)」
「そっかぁ〜…。
知ってるの、私だけかもね。」
 あたしの頭の中は、パニックだった。
 あたしが、パニックになっても、Mちゃんの話しは続き、あたしは、その話しのほとんどが、聞けれてなかった。
 それだけ、YTがMちゃんに、本名を教えたのが、ショック過ぎたのだ…。
 だから、後日、もう一度、話しを聞く事にした。