「粉払ってやるから、目閉じて」 「自分でやるって…ちょっ」 頬についていた粉を親指で拭うと、清華はとっさに片目を閉じる。 今なら、コイツに触れても、許されるような、そんな気がした。 「あ、瑞樹」 「黒板消し、はたいてたら、風で粉が飛んでね」 俺がゆっくりと後ろを振り向くと、瑞樹は何も言わずに踵を返す。 「えっ、瑞樹?ちょっと待って」 急いで、話をしようと追いかける清華。 俺は……ただ呆然とその光景を見つめて。立ち尽くすだけで。 身体が動かなかった。