『これだけ、覚えておけば、清華はこれからも大丈夫だよ』

壱兄ちゃんに迷惑をかけるのはこれで最後にするとそう決めて、私はその日以来、壱兄ちゃんには一度も会っていない。


そして私はこのことがあって以来、彼氏ができないどころか。


恋愛すらまともにできていない。


「お待たせ〜」

「全然待ってないよ」


夕陽と壱兄ちゃんはよく似合う。急いで石段を駆け上がってきた壱兄ちゃんを見て、そう思った。


「なんか彼氏と彼女みたいだな」

そう言って壱兄ちゃんは、昔みたいに私の左隣に座る。