「……お前の家、今日カレーだって。昔お前、カレー好きだったよな。母さんが言ってた」


たったそれだけ?


「あぁ…うん。分かった」

そう言うと、結局アイツは大人しく消しゴムを返したから。まぁいいか。


「じゃあね」

「あぁ…」


何か言いたいことでもあったのだろうか。

そんな気がしたけれど、家に帰ると、言っていた通りのカレーの良い匂いがして、その匂いを嗅ぐと、その疑問はすぐに消えた。


そして私は自分の部屋に入ると、久しぶりに壱兄ちゃんのLINEを開く。


『壱兄ちゃんと久しぶりに話したいんだけど、明日暇だったりする?』そう送ったけれど。


壱兄ちゃんからの返信は、その日に返って来なかった。