「いや。したよ。俺の気持ち次第って、前に言ってくれた」
「それは…」
階段を上がってくる足音が聞こえて、急いでこの話をやめる。
瑞樹も2人の時に本人からちゃんと聞きたいだろうから。
それにしても…そっか。アイツが、バスケ部に。
せっかく期待されてスカウトされたんだから、やらないのは勿体ない。
少しだけ、アイツが奏多くんに勝つところも見てみたい気もする。
「ただいま」
聞き覚えのある、アイツより少しだけ高い声が聞こえて、ドアが開いた瞬間、後ろを振り返ると。
「……え?」
そこには壱兄ちゃんがいた。

