お前の嫌いなやつがこんなに近くにいるのに呑気だな。
そう心の中で悪態をついてみるものの、清華は気持ち良さそうに寝息を立てている。
不意にシャンプーの匂いが鼻をかすめた。
あぁ……俺の周りにはあまりいないタイプの匂い。
大体、俺の周りにいる女子達は、香水とか匂いのあるものつけてるやつが多いから。
そっと頬に触れると、清華は少し眉を潜めた。
「ただいまー!ん?誰かいる?」
ーーバタン
急に部屋のドアが開くと、俺は慌てて手を引っ込めた。
「寝込み……襲い?」
「ちげぇよ!零だけど俺のこと分かるか、舞香」

