「いってらっしゃい」

「……いってきます」


そのまま母さんによって玄関に連れて行かれた俺は、すぐそこの家に行くだけだというのに嬉しそうに見送られて家を出た。


ーーピーンポーン
 

俺の家の隣の隣にあるアイツの家は、歩いて20秒ももたない内に着いて、チャイムを鳴らすけど、誰も出てこない。


誰もいないのか?

あぁそういえば、ここの家族は父親も母親もいつも忙しそうだったな。


家の前に置いておくのもどうかと思って、無意識に家のドアノブを引いていた。


ーーガチャ

家のドアがいとも簡単に開いたことに驚いて、俺は一旦ドアを閉めた。