「でも、俺はアイツのそういう不器用なところ、好きだし、そのおかげで助かってる部分もあるんだけどね」
「不器用…?」
「ただいま。あ、アイスクリーム食べてる。私も買ってこようかな」
あんな高低差激しいジェットコースターに乗って…ヘトヘトになってもおかしくない2人が、楽しそうに戻ってくる。
そういえば最近、瑞樹も元気になった気がする。
前が元気じゃなかった訳ではないけれど、美人って感じの瑞樹が、前より可愛くなった。
アイツのおかげもあるのだろうか。と思ったけれど、いやいや。
瑞樹がいくら寛容だからって、私はアイツの恋愛に関してだけは、認めることはできない。
だって、傷ついている人がいることも、どれだけ彼女になった女の子達が泣いたかも、アイツは分かってない。
私は恨めしく、ワゴンに向かう瑞樹とアイツの後ろ姿を眺めた後、溶けてきたアイスクリームを必死にすくった。