「まぁ良いけど……付き合いたてなのに悪いな」

「いや、それはいいんだよ。あっちも一緒にって言ってるし、せっかくのお前の貴重な休みなんだからさ」


そういえば、初めてかもしれない。

彼女と、彼女の周りを巻き込んで遊びに行くのは。


俺がこういう人間だから、2人でいる時間がいつも女といる俺を独占する唯一の時間だと思っていたのだろう。


「ありがとな。色々と」

「何だよ色々って」


「んー、優しい魔王だなって話」

「それを言うなら優しい王子だろ」

「何なんだろうな、その名前」


勝手に付けられている異名に2人で吹き出して笑うと、俺はまたカレーパンにかじりついた。